「なぜこれほどの超大作がスクリーンで見られなかったのか」という疑問の裏には、当時のウォルト・ディズニー・カンパニーが直面していた劇的な経営環境の変化が存在します。製作が本格化した2020年から2022年にかけて、ディズニーはボブ・チャペック前CEOの指揮下で「ディズニープラス(Disney+)の会員数急拡大」を最優先目標に掲げるストリーミングファースト戦略を推進していました。
当時、世界的なパンデミックの影響により劇場興行が著しく冷え込む中、ディズニーはNetflixに対抗し得る強力な独占コンテンツを喉から手が出るほど求めていました。『ピノキオ』実写版や『ホーカスポーカス2』と同様に、誰もが知る知名度抜群のIPの続編をサブスクリプションの起爆剤として囲い込む方針が採られたのです。
さらに、映画業界の興行アナリストが指摘するように、制作費と宣伝費(P&A費)の費用対効果も冷静に計算されていました。前作から15年が経過した続編は、リアルタイムで熱狂したファン層の高齢化により、劇場興行でメガヒットを狙うには興行リスクが高い「中規模バジェット作品」と分類されやすい傾向があります。リスクを回避しつつ、プラットフォームの加入継続率を高めるキラーコンテンツとして配置されたのが、配信限定となったビジネス上の真相です。