現在、小川家のDNAを最もアグレッシブに体現しているのが二代目中村獅童だ。歌舞伎座での伝統的な大役を厳格に勤め上げる一方で、映画や現代劇、さらには超歌舞伎など異ジャンルへの越境を恐れない姿勢は、かつて映画界へと打って出た叔父・萬屋錦之介の反骨精神と見事に重なり合う。
松竹株式会社が制作する本興行においても、獅童の存在感は唯一無二だ。自らの息子たちと共に舞台に立ち、伝統の重みを受け止めながらも次世代のエンターテインメントへと昇華させる姿には、播磨屋から萬屋へと枝分かれしながら受け継がれてきた「芸への執念」が脈打っている。