旅人の木を語る上で外せない最大のインパクトが、木質の硬い果実(サヤ)が裂けた瞬間に現れるコバルトブルーの種子です。着色料で染めたかのような目の覚める青さは、植物界全体を見渡しても極めて珍しい現象として知られます。
この青さの正体は、種子の本体ではなく、種を包み込む「仮種皮(アリル)」と呼ばれる組織です。なぜこれほど目立つ色をしているのかというと、原産地マダガスカルにおける種子散布の戦略に直結しています。鬱蒼としたジャングルの中で、果実を食べる鳥類やキツネザル(アイアイなど)の視覚に強烈にアピールし、遠くからでも見つけやすくして遠方へ種を運んでもらうために進化した結果なのです。
なお、原産地や沖縄などの温暖な屋外環境における開花時期は主に夏から秋にかけて。鳥のクチバシのような巨大な仏炎苞(ぶつえんほう)から白〜クリーム色の花を咲かせます。花が受粉して硬い実を結び、完熟してパカッと割れるまでには数か月から半年以上の歳月を要します。