物語の舞台は太平洋戦争の末期。物資が困窮を極め、日々の食料すら満足に手に入らない過酷な状況下で、主人公の「僕」は生まれたばかりの弟・ヒロユキを迎える。
ひもじさに耐えかねる乳児のヒロユキのために、母親はわずかな米やミルクを万全の愛情で与えようとする。しかし、飢餓の波は容赦なく幼い命を蝕んでいった。主人公自身も強い空腹に苛まれる中、弟に与えられるべき貴重な粉ミルクを、耐えきれずに盗み舐めてしまう。この小さな背信行為が、後に消えることのない深い葛藤と罪悪感として少年の心に刻み込まれる。
結末において、弟のヒロユキは栄養失調のために短い生涯を閉じる。戦火が激しさを増す中、小さな棺を抱えて野原へ向かい、火葬する母親の背中。そして「僕」が抱き続ける悔恨。大人になれずに命を落とした無数の子どもたちの象徴として、ヒロユキの死は読者の胸を強く締め付ける。これが『大人になれなかった弟たちに』が描く、残酷で切ない結末の全貌である。