政党の存続を賭けた熾烈な戦いとなった第26回参議院議員通常選挙でも、この手書き表現は威力を発揮した。社会民主党の党首として陣頭指揮を執った福島瑞穂氏は、全国各地の街頭演説や集会において、手書きの横断幕や直筆サイン入りのビラを積極的に投入した。
政党要件の維持が至上命令となる中、組織力や資金力で勝る大政党に対抗するための策として選ばれたのが、泥臭いまでの手触り感だった。参議院の議席をめぐるデッドヒートにおいて、直筆の温かみや独特の力強さは、既存の政治に冷淡な有権者の関心を惹きつけるフックとして作用した。組織の看板以上に「個のキャラクター」を前面に押し出すブランディング戦略の核に、あの文字が存在していたのである。