「水が濁ってきたから」「フンがたくさん落ちているから」と、水槽の水を100%捨てて水道水に入れ替える行為は、金魚にとって命に関わる致命的なストレスとなります。いわゆる金魚水換え全とっかえNG理由の根幹には、急激な水質変化による「ショック症状」と「生物ろ過システムの崩壊」が存在します。
金魚の体液浸透圧は約0.9%の塩分濃度に保たれており、エラや腎臓を使って常に体内の水分・塩分バランスをエネルギー消費によって調整しています。水槽内の水が丸ごと入れ替わると、pH値や硬度、水温が急変し、金魚の体内環境を維持する浸透圧調整機能がパンクしてしまいます。これが「pHショック」と呼ばれる現象です。
さらに深刻なのがバクテリア減少原因です。水槽内では、金魚の排泄物から発生する猛毒のアンモニアを、亜硝酸菌や硝酸菌といった有用な「ろ過バクテリア」が無害な硝酸塩へと分解しています。飼育水をすべて捨てて砂利やガラス面を水道水でゴシゴシ洗ってしまうと、定着していたバクテリア群が全滅し、水槽内の自浄作用が完全にリセットされてしまいます。その結果、水換えをした数日後にアンモニア濃度が急上昇し、中毒死を引き起こす皮肉な結果を招くのです。