インターネット上の掲示板やSNS、知恵袋などのコミュニティを検証すると、「環境省が推奨する設定温度28度を守っているのに、汗が噴き出して眠れない」「夜中に不快感で目が覚めて湿度計を見たら、冷房稼働中なのに湿度78%を指していた」といった悲鳴に近い実体験が数多く投稿されている。
大手ハウスメーカーの技術研究所に所属する空調設計担当者は、この事態について次のように警鐘を鳴らす。
「現代の住宅は断熱・気密性能(UA値やC値)が劇的に向上しています。外の熱が室内に入ってこないため、冷房を28度に設定すると、エアコンは稼働からわずか10分足らずで設定温度を検知してコンプレッサーを止めてしまうのです。その結果、1時間のうち40分以上が『ただの送風運転』となり、ドレンパンに溜まった湿気が延々とリビングに撒き散らされる悪循環に陥ります」
人間が感じる暑さ・寒さ(体感温度)は、室温だけでなく湿度に強く左右される。アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)や日本生気象学会の研究報告によれば、同じ気温27度であっても、湿度が70%の環境と50%の環境では体感温度に約2度から3度の差が生じる。28度設定で高湿度に晒される空間は、不快指数(DI)が77を超え、熱中症リスクや睡眠の質の著しい低下を招く「隠れ危険地帯」と化しているのが現場の実態である。