開設先が判明した段階で、現在の金融機関から別の金融機関(例えば手数料の安価なネット証券など)へ乗り換えるには、法的に定められた移行ステップを順守しなければなりません。主たる変更理由は「取扱銘柄数の格差」「投信保有ポイントプログラム」「積立決済におけるクレジットカード還元率」が上位を占めています。
手続きの要となる公的書類が、現口座のある金融機関から発行される「勘定廃止通知書」(または口座自体を完全に閉鎖した場合の「非課税口座廃止通知書」)です。実務フローは以下の通りです。
- ステップ1:現金融機関のカスタマーデスクまたは管理画面から「金融機関変更(勘定廃止)」を申請する。
- ステップ2:郵送または電子交付で届く「勘定廃止通知書」を受領する(発行まで通常1〜2週間を要する)。
- ステップ3:新しくNISAを開設したい金融機関へ変更申し込みを行い、受領した「勘定廃止通知書」の原本を郵送提出する。
- ステップ4:新機関が国税庁へ再申請を行い、二重口座でないことが確認され次第、新口座での取引が可能となる。
ここで最大のトラブルとなるのが書類の紛失です。引っ越しや片付けの最中に勘定廃止通知書を誤って破棄してしまうケースは珍しくありません。紛失した場合は、速やかに発行元の旧金融機関へ連絡し、勘定廃止通知書再発行を依頼します。再発行自体は無償で行われることが一般的ですが、二重発行の不正を防ぐ社内審査を挟むため、手元に届くまでさらに2〜3週間のタイムロスが生じる点には警戒が必要です。
また、税法上の厳格なルールとして、「その年に1度でも旧口座のNISA枠(成長投資枠・つみたて投資枠のいずれか)で買付を行った場合、その年内の金融機関変更は一切認められない」という制約があります。すでに配当金受取や毎月積立が1度でも発注された年の場合、変更できるのは「翌年分」からとなり、手続きの受付期間は当年10月1日以降に制限されます。