絶頂期にあった彼女が、なぜ20代後半という若さでスパッと芸能界を去ったのか。報道関係者や当時の番組スタッフの証言、さらには引退当時に周囲へ漏らしていた言葉を総合すると、単なる寿退社にとどまらない深い理由が浮き彫りになります。
第一の理由は、「タレントとしての完全燃焼と自己客観視」です。おニャン子クラブの会員番号19番としてデビューした岩井由紀子は、ソロ歌手としてもヒットを連発し、グループ解散後はバラエティタレントへと見事な転身を遂げました。しかし、1990年代中盤のテレビ界はバラエティ番組の過激化が進み、ひな壇タレントに対する要求が急速に変化していった時期でもありました。彼女は当時のインタビュー等で「自分自身を切り売りし続けることへの違和感」を少なからず抱いていたとされ、30歳という人生の節目を迎える前に、芸能人・ゆうゆとしての役割を自ら幕引きすることを決意したと見られています。
第二の理由は、「家庭とプライベートへの強い憧憬」です。十代半ばから過密スケジュールに追われ、プライバシーのない生活を余儀なくされてきた昭和のアイドルにとって、「普通の家庭を築き、家族を守る」という営みは何物にも代えがたい価値を持っていました。結婚を機にフェードアウトするのではなく、「完全に芸能界を辞める」と宣言して身を引いた潔さは、中途半端な未練を残さない彼女の責任感の表れでした。