ネット上の掲示板やSNSで囁かれる「やめとけ」という悪評の根底には、福祉という美名と過酷なビジネス現場との間に横たわる、救いようのないギャップが存在します。現場取材と退職者の手記を精査すると、福祉用具専門相談員がきつい理由は主に3つの構造的負荷に集約されます。
第1の要因は、想定を絶する「肉体労働の過酷さ」です。福祉用具の選定やモニタリングといった相談業務をイメージして入社した新人を待ち受けるのは、重量50kg〜80kgを超える電動介護ベッドや車いす、段差解消スロープの積み込み・運搬作業です。エレベーターのない団地の階段を手作業で運び上げ、狭小住宅の和室で汗だくになりながら工具を握って組み立てる日々の連続に、腰痛を患って戦線離脱を余儀なくされる従事者が後を絶ちません。
第2の要因は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対する「泥臭い営業活動とノルマ」です。利用者の新規獲得はケアマネジャーからの紹介に依存しているため、御用聞きのような低姿勢で営業をかけ続けなければなりません。自社からの厳しい売上目標に追われつつ、ケアマネジャーの細かな要望や急な呼び出しに応じる毎日は、精神を容赦なくすり減らします。
さらに第3の要因として、緊急対応と膨大な書類作成が拍車をかけます。「利用者がベッドから落ちて手すりが壊れた」「今すぐ車いすのブレーキを直してほしい」といった突発的なトラブル対応に追われ、営業車を走らせる合間に、介護保険請求に必要な選定理由書やモニタリング記録を夜遅くまで作成する過密スケジュールが、現場の疲弊を決定づけています。