なぜ、健康増進のために訪れた場所で命を落とすのか。その最大の要因としてヘルスケア・医療の専門家が指摘するのが、急激な血管の収縮と拡大に伴う血管事故だ。
90度を超える高温のサウナ室から、15度前後の冷たい水風呂へ一気に移動する。このとき体内で起きるのが激烈なヒートショック現象だ。サウナ室では末梢血管が開き血圧が低下するが、冷水に浸かった瞬間に交感神経が極度に緊張し、血管が一気に収縮する。血圧は跳ね上がり、心臓へ猛烈な負担がかかる。
この急激な血圧変動に心臓が耐えきれなくなったとき、発生するのが急性心不全や致死的不整脈だ。特に心筋に十分な血液が行き渡らなくなると、意識は数秒で消失する。水風呂の中で倒れれば、そのまま溺死に至るリスクが極めて高い。整う瞬間の多幸感と、脳への酸素供給が絶たれる失神は、生理学的に極めて紙一重の場所に位置しているのだ。