この事件をめぐっては、インターネット上でいくつかの重大な誤認や都市伝説的な言説が飛び交いました。食の安全を守る上で、これらの誤解は直ちに正されなければなりません。
第一の誤解は、「海鮮の具材(ウニやイクラなど)が腐敗したことが原因だろう」という推測です。しかし、八戸市保健所の調査で明確になった通り、主たる汚染源は生鮮魚介ではなく「米飯(ご飯・酢飯)」でした。穀類は決して無菌ではなく、セレウス菌などの耐熱性芽胞菌が常在しているリスクを認識していなかったことが最大の盲点でした。
第二の、そして最も危険な誤解は、「電子レンジなどでしっかり再加熱すれば食中毒は防げたはずだ」という言説です。黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンは、100℃で30分間加熱してもほとんど分解されない極めて強固な耐熱性を持っています。つまり、一度毒素が作られてしまった食品は、いくら熱々に加熱し直そうが無毒化することは不可能です。「加熱したから大丈夫」という油断こそが、家庭や小規模店舗における二次被害を生む最大のトラップとなります。