ハンターハンターはなぜ極上のダークファンタジーと化すのか徹底検証

ハンターハンターはなぜ極上のダークファンタジーと化すのか徹底検証

ハンターハンターはなぜ極上のダークファンタジーと化すのか徹底検証の概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。

『HUNTER×HUNTER』がいつ、どのような経緯で本格的なダークファンタジーへと舵を切ったのかを振り返ると、そこには作者・冨樫義博氏の段階的な表現の実験が存在します。初期の「ハンター試験編」こそキルアの暗殺術やヒソカの異常性がアクセントとして機能する冒険活劇でしたが、クラピカの復讐劇を描いた「ヨークシン編」において、地下社会の暴力と死の冷徹さが前景化しました。

決定打となったのは、間違いなく「キメラアント編」です。人間を捕食し進化する未知の生命体と人類の衝突を描いた同編では、無邪気なキャラクターが無惨に解体・脳弄りを受けるショッキングな描写(ポックルの最期)や、国家レベルの虐殺が淡々と描かれました。さらに、主人公であるゴン自身が復讐のために自身の未来を前借りし、異様な姿へと変貌する「ゴンさん」化は、従来の主人公像を完膚なきまでに破壊する出来事でした。

そして物語の視界は、人類が生存可能な領土の外側に広がる未踏の地「暗黒大陸」へと広がっています。暗黒大陸から持ち帰られた五大厄災(兵器ブリオン、ガス生命体アイ、双尾の蛇ヘルベル、人飼いの獣パプ、不死の病ゾバエ病)の設定は、もはやH.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話を彷彿とさせるコズミック・ホラーの領域です。「人類の悪意と無力さ」を徹底して突きつけるこの世界観こそが、本作を孤高のダークファンタジーたらしめている構造的本質です。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。