腹鳴を感じたとき、最も重要な観察ポイントは「痛みを伴うかどうか」だ。痛みの有無によって、緊急度と対処法はガラリと変わる。
まず、痛みを伴わないギュルギュル音の場合。これは前述した呑気症や、軽度の自律神経の乱れ、あるいは腸内細菌叢(フローラ)のバランス崩壊が原因であることが多い。腸内の悪玉菌が増殖すると、エサとなる食物繊維や糖質を分解する際に大量のガスを生成する。これが不規則な腹鳴につながるのだ。ただし、痛みがないからといって放置していいわけではない。長引く音は精神的なストレスとなり、さらなる症状の悪化を招く悪循環に陥る。
一方、激しい腹痛や下痢、便秘、吐き気、体重減少などを伴う腹鳴は放置厳禁だ。特に注意すべき病気として以下が挙げられる。
一つは「過敏性腸症候群(IBS)」。腸に腫瘍や炎症などの器質的異常がないにもかかわらず、腹痛を伴う下痢や便秘、腹部膨満感が長期間続く。厚生労働省が実施する調査データでも、若年層から働き盛り世代にかけて患者数が増加している現代病の代表格だ。腹鳴はIBSの代表的な自覚症状の一つである。
もう一つが「機能性ディスペプシア(FD)」だ。胃の痛みや胃もたれ、早期飽満感(すぐに満腹になって食べられない)が続く疾患で、胃の運動機能低下や知覚過敏が原因とされる。日本消化器病学会のガイドラインでも、消化器の機能異常を早期に発見・治療することの重要性が強く訴えられている。
さらに、万が一、激しい突発性の痛みに加えて便が出ない、お腹がパンパンに張るといった症状がある場合は、「腸閉塞(イレウス)」の疑いもある。命に関わる医療緊急事態であり、直ちに救急医療機関を受診しなければならない。