全国修学旅行研究協会などの調査データによると、中学校の修学旅行先として近畿(京都・奈良)を選択する割合は、全体の約50〜60%と依然として過半数を占めています。数ある観光地の中で、修学旅行で京都や奈良がなぜ選ばれるのか、その根底には3つの決定的な理由が存在します。
第一の理由は、圧倒的な奈良・京都修学旅行の歴史的背景と学習指導要領との親和性です。飛鳥・奈良時代の平城京から平安京、室町・安土桃山・江戸時代に至るまで、千数百年にわたる日本の政治・文化の中心地がコンパクトな移動圏内に凝縮されています。教科書に掲載されている本物の国宝や世界遺産を直接目で確かめる体験は、教室の座学では決して得られない知的刺激を与えます。
第二に、受け入れインフラの強固さです。東海道新幹線をはじめとする高速交通網が整備されており、全国各地からのアクセスが極めて優れています。さらに、学生専用の受け入れ実績が豊富な旅館・ホテル、修学旅行生向け特別拝観枠を設ける寺社仏閣、教育旅行に精通した観光ガイドなど、半世紀をかけて築き上げられた安全・安心なオペレーション体制は他の地域を圧倒しています。
第三に、自立心を育む「班別行動」の実践環境としての完成度です。碁盤の目状に整備された京都市内の街路構造や充実した公共交通網は、生徒たちが自ら計画を立てて移動するフィールドワークに最適であり、これこそが学校側が奈良や京都へ修学旅行に行く理由として挙げる決定打となっています。