桐谷氏が株式市場に足を踏み入れたのは、現役のプロ棋士として活躍していた1984年のことです。当時所属していた東京証券協会の将棋部師範を務めた縁で証券関係者と接点を持ち、持ち前の緻密な研究眼を活かして運用をスタートさせました。
バブル経済の波に乗って順調に資産を伸ばした桐谷氏は、2006年の将棋界引退前後には総資産約3億円に到達。「財テク棋士」として広く知られる存在となりました。しかし、その後に待ち受けていたのは、投資人生を根底から揺るがす未曾有の暴落劇でした。
2008年に発生したリーマンショックと、それに先立つサブプライム問題の激震により、保有資産は猛烈な勢いで収縮。ハイリスクな取引が仇となり、資産はピーク時の3億円から一時5,000万〜1億円程度にまで急落しました。当時の手記では「夜も眠れず、胃痙攣を起こして救急搬送された」「生命保険を解約して追証の支払いに充てた」という悲痛な告白が残されています。
そこから「優待を活用した現物分散投資」へと舵を切り、2012年以降のメディア露出とアベノミクス相場が追い風となって資産は急激に反転。2020年のコロナショック局面でも狼狽売りをせず果敢に買い増しを実行し、2024年の日経平均史上最高値更新局面で5億円の大台を突破しました。2026年現在、保有銘柄の増配ラッシュと堅調な地合いを背景に、資産6億円の真相は確固たる現実として定着しています。