インターネット上の掲示板やSNSでは、著名人の子女が入団した際、判で押したように「親の七光り」「劇団の忖度ではないか」という穿った見方が囁かれがちです。稀星かずとも例外ではなく、音楽学校入学時や初舞台時には「大物芸能人の娘だから優遇されている」といった根拠のない憶測に晒された時期がありました。
しかし、劇場に足を運ぶ目の肥えた宝塚ファンが目の当たりにしたのは、そうした下馬評を真っ向から粉砕する彼女の真摯な姿でした。現場で特筆されたのが、父親譲りの豊かな声量とブレない音程感です。単に美しいだけでなく、歌詞の情景を鮮やかに伝えるドラマティックな歌唱力は、入団後の血のにじむようなボイストレーニングの賜物でした。
また、男役としての立ち振る舞いにも小手先の誤魔化しがありません。爪先の角度からジャケットの翻し方に至るまで徹底的に計算された端正な型と、役の心情に深く潜り込む芝居の深さは、組内外の先輩スターたちからも高く評価されています。「二世」という好奇の目を、舞台上の説得力だけで「頼もしい若手男役」という尊敬へと昇華させた歩みこそが、彼女の真価を物語っています。