『HUNTER×HUNTER』の休載理由を語る上で避けて通れないのが、作者を苦しめ続ける重度の腰痛です。ネット上では長年「ゲームに熱中している」「描く意欲を失った」といった心ない憶測が散見されましたが、展覧会「PUZZLE」の開幕に際して公開された直筆の手記によって、その凄惨な病状の真実が白日の下に晒されました。
冨樫氏は当時の手記の中で、「従来のやり方をあきらめることで、なんとか執筆を再開できている」と告白。「椅子に座れない状態が2年ほど続き、お尻を拭くポーズすらとれず、用を足すたびにシャワーを浴びていた」という赤裸々な記述は、漫画ファンのみならず出版業界全体に大きな衝撃を与えました。一時は通常の机に向かうことすら不可能となり、床にクッションを重ね、仰向けに近い姿勢で原稿用紙を掲げながら執筆を続けるという、極限状態での創作活動を余儀なくされていたのです。
2026年現在の取材データおよび周辺関係者の証言を総合すると、身体への負荷を極限まで逃すオーダーメイドの作業チェアや特殊な傾斜台、デジタルツールの部分的な導入など、多角的な環境改善が進められています。激痛でペンを握ることすら叶わなかった最悪期は脱したものの、現在も「1日数時間の作業が限界」というシビアな制限の中で、1コマずつ丹念に筆が進められています。
生活面においては、妻であり『美少女戦士セーラームーン』の原作者である武内直子氏の献身的な支えが大きな支柱となっています。同業者として創作の苦悩を誰よりも深く理解するパートナーの存在が、孤立しがちな療養生活とモチベーションの維持において決定的な役割を果たしていることは、ファンの間でも広く知られるところです。