物語の核心となるのは、単に赤ん坊を保護することではなく、その赤ん坊自身が「重大な機密の鍵」を握っていたというサスペンス展開です。
赤ちゃんの身につけていた衣服のボタン、おしゃぶり、あるいはガラガラのおもちゃの中に、組織が血眼になって探すマイクロフィルムや暗号データ、巨大金庫のアクセスキーが仕込まれていました。ルパン一味を急襲する武装組織の追手に対し、ルパンたちは赤ん坊に危害が及ばないよう細心の注意を払いながら反撃に出ます。
特注の防弾仕様に改造されたベビーカーを駆使したカーチェイスや、石川五ェ門の斬鉄剣による「敵の武器だけを切り刻み、赤ん坊の昼寝を決して邪魔しない」という神業の太刀筋など、アクションシーンと育児要素の見事な融合が展開されます。
事件を解決した後の結末は、実に鮮やかで切ない余韻を残します。ルパンは莫大な報酬や機密データを手に入れるチャンスがありながら、それを一切放棄し、赤ちゃんを安全な親族や信頼できる保護者のもとへ無償で送り届けます。別れ際、泣きじゃくる赤ん坊に対してルパンが残した粋なプレゼントと優しい笑顔は、大泥棒としての誇りと優しさを象徴する名場面です。