白石麻衣のビジュアル作品が長期にわたり愛される背景には、単なるタレント人気を超えた「消費心理のパラダイムシフト」が存在します。
従来のアイドル写真集は、男性ファンをターゲットとした「異性目線の鑑賞物」としての性格が支配的でした。しかし、彼女の代表作『パスポート』は「女性が憧れる究極の美」を前面に打ち出し、ファッション誌専属モデル(『Ray』や『LARME』)で培った圧倒的な美意識と透明感を提示しました。
社会心理学における「同一視(identification)」および「自己効力感(self-efficacy)の投影」の観点から分析すると、同性の読者は彼女のプロポーションやスキンケア、メイクアップの完成度を「理想の自己像」として受容しています。過度な媚びを感じさせない「おしゃれでヘルシーなセクシーさ」を追求したディレクションが、女性購買層の心理的ハードルを完全に撤廃しました。
当時の特番インタビューや手記において、白石本人は「男女問わず、たくさんの人におしゃれだな、綺麗だなと思ってもらえるような作品にしたい」と語っていました。その言葉通り、発売直後から書店頭には女性客が列をなし、購買層の30%〜40%以上を女性が占めるという前代未聞のヒット構造を作り出したのです。