現代人の認識は、手のひらの中のアルゴリズムによってかつてないほど相対化されている。YouTubeやNetflixの推薦エンジンは、ユーザーの過去の行動履歴に合わせてパーソナライズされた現実を提示する。NHKエデュケーショナルが制作する教育番組でも指摘されるように、同じ世界に生きながら各人が見ている情報空間は完全に個別化されているのが現状だ。
認知科学の知見によれば、人間は自らが頻繁に目にする情報を「世界の標準」だと誤認するバイアスを持つ。アルゴリズムが最適化したフィードに浸り続けることで、自分の趣味嗜好や政治的意見がまるで絶対的な多数派であるかのような錯覚に陥る。情報の相対性を自覚し、意図的に異なる視点を取りに行かなければ、個人の認知は狭小なエコーチェンバーの中に閉じ込められてしまう。