プレドニゾロンを服用させた直後から愛犬の様子が一変し、驚かれる飼い主は非常に多く見られます。治療開始から数日から数週間のうちに現れやすい犬のステロイド副作用の初期症状として、臨床現場で最も高頻度に報告されるのが「多飲多尿」「呼吸促迫(パンティング)」「食欲亢進」「消化器症状」の4点です。
まず、犬のプレドニゾロン投与による多飲多尿は、薬剤が脳下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(ADH)分泌を抑制し、さらに腎臓の集合管において水分の再吸収を阻害することによって起こります。体内の水分が尿として急速に排出されるため、脱水を防ぐ代償反応として犬の飲水量が異常に増加します。体重1kgあたり1日100ml以上の飲水、あるいは50ml以上の排尿がある場合は明確な多飲多尿と定義されますが、これは薬理作用そのものによるものです。決して飲水を制限してはならず、常に新鮮な水を自由に飲める環境を整えなければ急性腎不全や重度の脱水症を招く危険があります。
次に、室温が適切であるにもかかわらず犬がプレドニゾロンの服用後にパンティング(呼吸が荒い状態)を繰り返す現象です。これはステロイドが中枢神経系の体温調節中枢や呼吸中枢を刺激することに加え、横隔膜や呼吸筋の軽度な筋力低下、さらには肝臓肥大による胸腔への圧迫が複合的に関与して発生します。苦しそうに見えるため呼吸器疾患と誤認されがちですが、多くは薬剤性の体温上昇感覚や中枢刺激による反応です。
また、犬のプレドニゾロンによる食欲異常・旺盛化も顕著に現れます。視床下部の摂食中枢が直接刺激されることで満腹中枢が麻痺し、普段では考えられない勢いでフードを要求したり、異物やゴミ箱の残飯を誤食する事故が多発します。さらに、胃粘膜保護バリアの低下に伴い、投与初期には犬のプレドニゾロン服用に伴う嘔吐や下痢といった一過性の消化器トラブルが生じる場合もあるため、胃粘膜保護剤との併用が検討されます。