かつて「国民の敵」とまで罵倒された竹下登元首相の消費税導入が、なぜ今改めて議論の俎上に載せられているのでしょうか。その最大の理由は、財政逼迫と超高齢社会の現実を前に、「不人気政策をやり抜くリーダーシップの不在」に対する国民のフラストレーションが背景にあります。
当時、導入直後の1989年春には街頭で「1円玉が足りない」「レジが大混乱した」という苦情が殺到し、国民的な大バッシングが巻き起こりました。しかし、後の歴代政権が消費税率を5%、8%、10%へと引き上げるたびに、「ゼロから1を作った竹下の突破力」が比較対象として引き合いに出されるようになったのです。
政治学関係者や当時の官僚たちの証言によれば、竹下自身は「不人気な税金を導入すれば政権が潰れることは百も承知だった」とされ、自らの政治生命と引き換えに財政の骨格を作ったという「殉教者」的ナラティブが一部で形成されました。しかし、ネット上や現代の有権者の間では「実質的な国民負担増の元凶」「失われた30年の引き金」とする厳しい批判も根強く存在し、評価は真っ二つに分かれています。