ネット上の英語学習フォーラムや知恵袋では、「put up withはビジネスメールで使っても良いのか」「TOEICで本当に出題されるのか」といった議論が定期的に巻き起こります。大手語学教育機関の出題分析データおよびグローバル企業の通信記録から、実態を検証します。
まず、put up withのTOEIC頻出問題としての実態ですが、Part 5(短文穴埋め)やPart 7(読解問題)において極めて高い出現頻度を誇ります。とりわけPart 7における同義語言い換え問題(Passage中の特定単語と最も近い意味のものを選ぶ設問)では、本文中の「tolerate」が選択肢で「put up with」にパラフレーズされる、あるいはその逆のパターンが鉄板のトラップとして機能しています。TOEIC運営委員会は、受験者が「単なる直訳ではなく、状況に応じた意味の等価性」を把握しているかを試しているのです。
一方で、ビジネス現場における使用には明確な階層が存在します。社内の同僚同士のSlackやTeams、あるいは気心の知れた取引先との雑談では、「Thanks for putting up with my sudden requests.(急な要望ばかりで無理を言ってすみません)」といったクッション言葉としてポジティブな感謝表現に転用されるケースが多々あります。
しかし、オフィシャルなクライアント宛てメールや契約書の文面で「We cannot put up with this delay.」と書くのは明らかな悪手です。相手に対して「お前の不始末を我慢してやっている」という極めて無礼かつ感情的な非難として伝わってしまいます。公的な文書では、必ず「We cannot tolerate further delays.」や「This delay is unacceptable.」といった客観的語彙に切り替える必要があります。この「口頭の親密さ」と「公式文書の客観性」のギャップこそが、実務学習者が最も注意すべき境界線です。