あがた通りを深く味わうためには、その名に刻まれた歴史的背景と民俗的なルーツを知ることが欠かせません。
京都・宇治の「あがた通り」を語る上で外せないのが、毎年6月5日から6日未明にかけて斎行されるあがた祭りです。宇治の縣神社は古くからこの地の守護神(木花開耶姫命・このはなさくやひめのみこと)を祀り、安産や縁結びの神として篤い信仰を集めてきました。この祭りの起源は平安時代にまで遡るとされ、深夜に街中の灯火を消し尽くした完全な暗闇の中で神輿が渡御する「暗闇の奇祭(梵天渡御)」として全国的に知られています。闇夜の中で神聖な力を授かるという古来の信仰形態が現代まで受け継がれており、歴史研究者や民俗学ファンからも極めて高い関心を集めています。
一方、信州松本の「県(あがた)通り」は、近代日本の学術・文教の発展と密接に結びついています。近代都市計画において、駅前市街地と旧制松本高等学校を結ぶ幹線道路として整備された歴史があり、かつて多くの若きエリート学徒たちが闊歩した青春の道でもありました。通り沿いには大正・昭和初期の近代建築のディテールが今なお残り、歩くだけで近代化期のノスタルジーを感じさせます。