1954年、製作を再開した日活が各社からスターを引き抜く過激な争奪戦を展開する中、北原三枝は同社の命運を握る若手女優陣のエースとして迎え入れられました。これが、日本映画史の転換点となる日活看板女優 経歴の本格的な幕開けとなります。
北原三枝は瞬く間に日活のアクションや青春映画に不可欠な存在となり、次々と主演作をヒットさせました。そして1956年、彼女の運命と日本映画界の潮流を根底から変える作品との邂逅を果たします。それが、石原慎太郎原作、中平康監督による太陽族映画の金字塔『狂った果実』でした。
この狂った果実 北原三枝の相手役として抜擢されたのが、慶應義塾大学在学中でデビュー間もなかった新人・石原裕次郎です。当時の北原はすでにスタジオの命運を背負う大スターであり、映画界の作法も知らない破天荒な裕次郎との共演は、当初スタッフの間でも危惧されていました。しかし、カメラが回った瞬間、二人が放つ火花のような化学反応は誰もが息を呑むものでした。
夏の逗子や葉山の海を舞台に、恵理恵という謎めいたヒロインを演じた北原三枝の気だるげでアンニュイな美しさと、裕次郎のみずみずしい野性味。この『狂った果実』の大ヒットを起点に、北原三枝 代表作として名高い『嵐を呼ぶ男』(1957年)や『錆びたナイフ』(1958年)など、二人は通算20本以上もの作品でタッグを組み、映画界屈指の「ゴールデンコンビ」として社会現象を巻き起こしていったのです。