カランコロンと風鈴が鳴るような、ゆったりとした時間が流れているわけではない。むしろ朝の9時を過ぎると、横丁は確かな活気に包まれる。カラフルなニッキ飴、ハッカ飴、サツマイモのパイ。手焼き煎餅の香ばしい煙が立ち上り、職人が鉄板を叩くリズムが路地に響く。2026年、環境省が選定した「かおり風景100選」の誇りは伊達ではない。
「昔は『子供のお小遣いで買える場所』だったけれど、今は大人が本気で思い出を買いに来る場所になったね」。創業から三代続く老舗の店主は、木箱に並んだ千歳飴を整えながらそう語る。古き良き景観を守りつつ、キャッシュレス決済や多言語での商品案内が自然に溶け込む光景は、観光地としての成熟を感じさせる。