参拝を見送ろうとする妊婦の心を最も重くするのが、「安産祈願をしないと難産になるのではないか」「子どもに何かあったら自分のせいではないか」という不条理な不安です。
断言しますが、安産祈願をしなかったことによって医学的な分娩リスクが跳ね上がる事実は一切ありません。祈願の有無と、実際の分娩所要時間や出産トラブルの発生率との間に相関関係がないことは、産科医療の現場でも周知の事実です。
にもかかわらず後悔の念が生じる原因は、古くからの因習や、実親・義実家からの無遠慮な言葉にあります。ネット上でも「義母から『戌の日に参拝しないなんて母親失格』と責め立てられた」「実母が勝手に遠方の有名神社に予約を入れてしまい断れなかった」といったトラブルが散見されます。
昭和・平成期に色濃かった「伝統儀礼を完璧にこなすことこそが母親の愛情」という固定観念が、令和のプレママたちに不要な罪悪感を植え付けている構図が浮き彫りになっています。