漫画作品の発表を絶ってから長い年月が流れた。ファンが最も気になるのは、2026年を迎えた今現在の健康状態や日々の暮らしぶりだろう。
つげ義春は御年80代後半を迎えているが、穏やかな日常を送っている。重篤な病に伏せることもなく、自室で静かに本を読み、散歩に赴く日々だ。公の場に姿を現すことは滅多にない。だが、その沈黙は単なる引退や拒絶ではなく、自身の表現を完璧な形で完成させた者の必然的な静寂と言える。
かつて彼は「描きたいものはすべて描き切った」と語っていた。一度原稿に向かえば、骨を削るような自己対峙を強いられる。無理に描き続けることを拒み、作品の純度を保ったままペンを置く。この潔い美学こそが、彼が長年にわたり沈黙を守り続ける最大の理由である。