植物の学名や和名の世界には、時として不思議な「ねじれ」が生じる。山茶花もその最たる例だ。学名は Camellia sasanqua(カメリア・サザンカ)。世界共通の学名に、日本発音の「sasanqua」がそのまま採用されている。
中国由来の漢字表記「山茶花」でありながら、学名には日本で訛った「サザンカ」の音が残る。これは18世紀にオランダ商館の医師として来日したツンベルク(Thunberg)が、日本で耳にした名前をそのまま欧州に持ち帰ったためだ。東洋の漢字文化と日本の口承文化、そして西洋の植物学が交差した末に生まれた奇跡的な名称と言える。