ネット空間で特に神格化・あるいは奇異の目で見られがちなのが、人口の約1割しか存在しないAB型です。
「AB型は天才か変人」「冷淡で二重人格」といった極端な言説が独り歩きしていますが、AB型という血液型が誕生したのは人類の歴史において比較的新しい現象です。A型抗原を持つ集団とB型抗原を持つ集団が出会い、婚姻を結ばなければ生まれないため、世界的に見ても出現率は低くなります。しかし、人口約1億2000万人の日本において10%といえば約1200万人にのぼり、東京都の人口に匹敵する巨大な集団です。1200万人もの人間を「二重人格」や「天才」といった単一のラベルで括ること自体、統計学的に無理があります。
また、「自分の血液型が変わった」という体験談がネット上で散見されますが、これも典型的な誤解の一つです。かつて昭和から平成初期にかけては、新生児期に産婦人科で血液型検査が行われることが一般的でした。しかし、生後数か月の乳児は抗原や抗体の発達が未熟であり、母親からの移行抗体の影響を受けるため、検査エラーが起きやすい性質がありました。大人になって献血や精密検査を受けた際に「実は違う血液型だった」と判明するケースが多発したのはこのためであり、遺伝子型が後天的に変化したわけではありません。