大人の永久歯がグラグラと揺れる背景には、主に3つの重大な病態が潜んでいます。自身の症状がどれに該当するかを正しく把握することが、的確な治療への第一歩となります。
1. 重度歯周病による歯槽骨の吸収(抜ける前兆)
日本人の成人における歯の動揺原因の第1位が歯周病です。歯周病が進行すると、歯周ポケットの深部に潜む嫌気性細菌が毒素を排出し、歯を支えている周囲の骨(歯槽骨)を徐々に溶かしていきます。歯周病末期の抜ける前兆としては、「歯茎から膿が出る」「噛むと鈍い痛みが走る」「口臭が急激に悪化する」「歯が以前より長く見える」といった症状が顕著に現れます。骨の支持を失った歯は前後左右だけでなく、上下方向にも沈み込むようになります。
2. 外傷や強い咬合力による歯根破折
転倒や硬い食べ物の咀嚼、あるいは就寝中の無意識な歯ぎしり・食いしばりによって、歯の根元が割れる「歯根破折(しこんはせつ)」も急増しています。過去に神経を抜いて失活歯になっている歯は、血流による栄養供給がないため枯れ木のように脆く、突発的に破折を起こします。歯根破折の主な症状と原因は、特定の歯に激痛が走り急激に揺れ始める点にあり、亀裂から細菌が侵入して骨破壊を急激に加速させます。
3. 差し歯・被せ物の土台(コア)の脱離
「歯そのものがぐらぐらしている」と感じていても、実際には歯根に装着された金属やレジンの土台(差し歯)を接着しているセメントが劣化し、補綴物だけが緩んでいるケースがあります。この場合の差し歯がぐらぐらする際の対処法としては、歯根が無事であれば再接着や土台の再作製で歯を残せる可能性が高いため、絶対に自力で引っ張って外そうとせず、そのままの状態で歯科医院へ直行することが鉄則です。