多くのファンの胸を締め付け、今なお語り草となっているのが第12話(最終回)のクライマックスです。すれ違いや周囲の思惑、互いを思いやるがゆえの葛藤から、一度は別々の道を歩むことを選んだ晃次と紘子。物語はそこから3年の歳月が経過した世界を描き出します。
紘子は女優としての夢を地道に追い続け、晃次もまた自らの絵画世界を深めていました。ラストシーンの舞台となるのは、2人の思い出が詰まった海岸沿いのりんごの木。紘子がりんごに手を伸ばすも届かず諦めかけたその時、背後からスッと伸びてきた晃次の手がその実をもぎ取ります。
振り返った紘子が見たのは、穏やかな笑みを浮かべる晃次の姿でした。劇的な台詞や抱擁で飾るのではなく、手話と視線、そして温かな微笑みだけで心を通わせ合う演出は、北川悦吏子脚本の真骨頂といえます。2人が再び結ばれる未来を予感させる美しい余白を残した幕引きは、平成ドラマ史に残る屈指のハッピーエンドとして称賛されています。