2000年代半ば、日本のポップカルチャー界に突如現れた強烈なムーブメント。それが「エロかっこいい」という新たな美学だった。従来のアイドルのような可愛らしさや、過度にストイックなディーヴァ像とは一線を画し、自らの美しさを堂々と魅せ、己の欲望に素直であること。過激なビジュアルの裏にあったのは、むしろ凛とした女性の自己肯定感にほかならない。
このムーブメントを中心となって牽引したのが、他ならぬ倖田來未だ。重厚なベースラインとキャッチーなメロディが交錯するダンス・ポップのサウンドに載せ、彼女は自身の魅力を解放した。そのスタイルは瞬く間に同世代の若者たちの心を掴み、ファッション誌やストリートの話題を独占していく。まさにJ-POPの表現領域を根底から広げた瞬間であった。