どん底を味わったドイツサッカー協会(DFB)は、ハンジ・フリック前監督の解任を経て、当時36歳だったユリアン・ナーゲルスマン監督に再建の命運を託しました。この人事はまさにドイツ代表のパラダイムシフトとなりました。
ナーゲルスマンは就任後、名前や実績にとらわれない大胆な血の入れ替えを断行。所属クラブで好調を維持する選手を積極的に抜擢し、チームの戦術的柔軟性を飛躍的に高めました。従来の硬直したボールポゼッションから脱却し、縦への速さと強烈なプレッシングを融合させたハイブリッドな現代フットボールへと舵を切ったのです。
地元開催となったEURO 2024では、トニ・クロースの一時的な復帰とともにチームの屋台骨を固め、見事にベスト8へ進出。優勝したスペインと死闘を演じたことで、国内外のメディアやサポーターから「強いドイツが帰ってきた」と絶大な評価を獲得しました。大会後、クロースやノイアーといった歴代レジェンドが代表を引退したものの、ナーゲルスマンの構築した強固な戦術基盤は揺らぐことなく、チームは着実な成熟を見せています。