インターネット上の相談窓口やSNSでは、人知れず氷への依存に苦しむ切実な叫びが日々投稿されています。
「真冬の寒空の下、暖房の効いた部屋で毛布にくるまりながら冷食の業務用ブロック氷をバリバリと食べてしまう」「家族から『バリボリ噛む音がうるさい、頭がおかしくなったんじゃないか』と呆れられ、隠れて食べるようになった」といった体験談は氷山の一角です。患者自身も「身体を冷やしてはいけない」「異常な行動だ」と理性では理解していながら、強い渇望を自力で制動できない苦悩を抱えています。
特にこの現象が顕著に現れるのが、妊娠中に氷を食べたくなる経緯です。妊娠後期に入ると、母体は胎児の急激な成長と胎盤の維持のために大量の鉄分を優先的に供給します。加えて、母体の血液量は約1.4倍に膨張するものの血球成分が追いつかず、血液が水で薄まったような「希釈性貧血」が引き起こされます。
産科の臨床現場でも、「つわりが終わった妊娠7〜8ヶ月頃から、無性にコンビニのカップ入りロックアイスを1日3杯買い占めて噛み砕いていた」と振り返る妊婦の証言が絶えません。検診で重度の貧血と診断され、処方された鉄剤を服用した途端、嘘のように氷への執着が消失するという劇的な経過をたどるケースが日常茶飯事となっています。