閃輝暗点を引き起こす引き金(トリガー)は日常のいたる所に潜んでいますが、最も深く関与しているのが自律神経の急激な乱れと過剰なストレスです。とりわけ臨床現場で頻繁に確認されるのが、「激務の最中」ではなく「緊張から解放された瞬間」に発症するパターンです。
過度なプレッシャーや緊張状態にあるとき、交感神経が極度に優位となり、脳の血管はギュッと収縮しています。しかし、大きな仕事が一段落した金曜日の夜や週末、休暇に入った瞬間、副交感神経が一気に優位へと傾きます。この急激な自律神経のシフトにより、収縮していた脳血管が一気に緩み、急拡大することで神経が刺激され、発症に至るのです。いわゆる「週末頭痛」の引き金となるのもこの生理学的機序です。
また、食事性因子も見逃せません。特定の食品に含まれる成分が、脳血管の収縮・拡張に直接影響を与えることが確認されています。
代表的なものとして、血管収縮作用を持つチラミンを含む熟成チーズ、赤ワイン、チョコレートが挙げられます。さらに、加工肉に含まれる発色剤(亜硝酸塩)、うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)、人工甘味料のアスパルテームなども血管作動性物質として作用します。加えて、長時間のPC・スマートフォン操作による眼精疲労、睡眠不足、過度なカフェイン摂取やその急激な離脱も、脳の感受性を高めて発作を誘発する強力な要因となります。