敗訴の旧マリカーが走る理由|ストリートカート東京の現在と危険性

敗訴の旧マリカーが走る理由|ストリートカート東京の現在と危険性

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公道カート問題を語るうえで避けて通れないのが、マリカー裁判の経緯と真相です。発端は2017年2月、任天堂が株式会社マリカー(現・株式会社MARIモビリティ開発など)に対し、不正競争防止法違反および著作権侵害を理由に東京地裁へ提訴したことでした。事業者は任天堂に無断で「マリオ」「ルイージ」といった人気キャラクターのコスチュームを貸し出し、公式サービスであるかのように誤認させて宣伝を展開していました。

東京地裁は2018年9月の中間判決、さらに2020年1月の知財高裁中間判決を経て、同年12月に最高裁が事業者側の上告を棄却。これにより、任天堂マリカー訴訟の判決は任天堂側の完全勝訴として確定しました。司法が命じた任天堂の損害賠償請求と結果は、当初の1000万円から大幅に引き上げられた総額5000万円の損害賠償支払いと、キャラクター衣装の貸出および「マリカー」の標章使用差し止めという極めて重いものでした。

報道関係者や知財専門家は「知財のただ乗りビジネスに対する司法の毅然とした判断」と高く評価しました。しかし、この勝訴判決には一つの決定的な限界がありました。任天堂が訴え、裁判所が差し止めたのはあくまで「知的財産や商標の不正利用」であり、カート車両が公道を走る行為そのものは訴訟の対象外だった点です。この司法判断の射程の違いが、看板を掛け替えて存続する現体制の抜け道を生む結果となりました。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。