松岡氏の代名詞として世界中から称賛を集めるのが、2000年にスタートした壮大なウェブ連載『千夜千冊』です。古今東西のあらゆる書籍を独自の視点でナビゲートし、1冊ごとに濃密な批評とエッセイを紡ぎ出すプロジェクトは、数千夜に及ぶ膨大なアーカイブとなりました。
松岡氏が実践していた「読書術」は、単なる速読や多読とは一線を画します。「本は単体で読んではいけない」「目次を眺めて構造をスキャンし、自分自身の記憶や他書とリンクさせる」という連想読書の手法は、情報過多に悩むビジネスパーソンや研究者に大きな示唆を与えました。日本の神道、仏教、和歌、茶道から現代のアニメ・テクノロジーまでを一筋の糸で結びつけるその語り口は、日本文化の本質を捉える羅針盤となっています。