公権力が動けない「一般行方不明者」の捜索において、家族が最後の頼みの綱とするのが探偵・民間調査業だ。従来、探偵による行方調査といえば、聞き込み、張り込み、尾行といった泥臭い人海戦術が主流だった。しかし現在、その現場にはデジタルフォレンジックと情報工学の波が押し寄せている。
注目を集めているのが、OSINT(オープンソース・インテリジェンス)捜索の手法だ。失踪者が生前に残したSNSのアカウント、投稿画像の背景に映り込んだ建造物の陰影、Wi-Fiの接続履歴、クラウドサービスのログインIP、匿名掲示板への書き込み癖などを多角的に解析し、居場所を割り出す。高度な地理空間分析とネット上の公開情報を組み合わせることで、公的捜査が立ち入れない領域から個人の足取りを再構築する。
さらに、官民の枠組みを超えた支援体制も芽生えつつある。一般社団法人日本行方不明者捜索・地域支援協会のような民間支援組織は、行方不明者捜索の専門ノウハウを持たない家族に対し、チラシ作成から捜索犬の派遣、Webを通じた情報収集の最適化、さらには発見後のメンタルケアに至るまで包括的なサポートを提供している。警察が動けない空白地帯を、民間の技術と地域コミュニティの連携が埋めつつある。