青空を背景に立ちのぼる煙が、食欲を容赦なく刺激する。日本有数のうなぎの街として知られる埼玉県さいたま市で開催される「浦和うなぎまつり」は、朝から押し寄せた来場者の熱気で満ちていた。会場のシンボルとして親しまれているのが、あの「アンパンマン」の生みの親である漫画家・やなせたかし氏がデザインした愛らしいキャラクター「浦和うなこちゃん」の石像だ。多くの家族連れが記念撮影を楽しむ傍らで、職人たちが炭火を前に一切の妥協のない眼差しで団扇を振るっている。
この巨大イベントを支える浦和うなぎまつり実行委員会とさいたま市観光協会は、伝統の味を次世代へ手渡すべく、調理の実演や子ども向けの体験ブースなど多彩な仕掛けを用意する。一方、養殖発祥の地として名高い静岡県の「浜名湖うなぎまつり」も負けてはいない。浜名湖畔の心地よい風に乗って漂うタレの香りに誘われ、県外からも大勢の愛好家が詰めかける。どちらの聖地も、職人の気迫と地域ぐるみの歓待が一体となり、他では決して味わえない祝祭空間を作り出している。