本作を傑作たらしめているのは、名手・岡田惠和による緻密かつ温度感のある脚本である。派手なサスペンスや過剰な悲劇に頼ることなく、日常のささやかな機微を丹念に拾い上げる手腕は圧巻だ。
フジテレビジョンが手掛けた数ある名作群の中でも、本作は群を抜いて上質なヒューマンドラマに仕上がっている。40代から50代へと差し掛かる時期特有の体力の衰え、キャリアの踊り場、親の介護や健康問題といったシビアな現実から目を背けない。それでいて、作品全体を包み込むトーンは常に軽快で前向きだ。
岡田惠和が提示したのは、人生の後半戦に向けた讃歌である。「まだ終わっていない、ここからが面白い」。そのメッセージが物語の隅々にまで浸透している。