荒木飛呂彦氏が創り出した独特の立ち姿は、決して突拍子もない思い付きの産物ではない。その根底には、ミケランジェロやベルニーニといったバロック・ルネサンス期の彫刻家たちが追求した「コントラポスト(重心を片脚に寄せる非対称な立ち姿)」の極限的な発展形がある。
2026年春夏のミラノ・ファッションウィークでは、複数のラグジュアリーブランドが明確にこの「歪んだ重心」をモデルのウォーキングに取り入れた。服のドレープや布地の陰影を最もドラマチックに際立たせる手法として、肩と腰のラインを逆方向に傾けるポージングが再評価されたのだ。ある一流メゾンのスタイリストは「静止しているにもかかわらず、画面から飛び出してくるような動的なエネルギーを生み出せる。これ以上の表現はない」と熱弁する。