この快進撃の中心にいるのが、横手高校のエース・高橋投手だ。身長182センチの細身の体躯から放たれる最速151キロの直球と、落差の大きいフォークボール。彼の投球スタイルには、派手なガッツポーズや咆哮はない。ピンチの場面でも冷静沈着、淡々とストライクゾーンを攻め立てる姿勢は、地元のメディアから「静寂の護法神」と称されている。
準々決勝で見せた9回二死満塁での圧巻の奪三振。バッターが空振り三振に倒れた瞬間も、高橋は静かにマウンド上で一礼しただけだった。その立ち振る舞いには、厳しい冬を耐え抜いた者だけが持つ凛とした美学が宿っている。相手チームの監督も「彼の精神的タフネスには脱帽するしかない。どんなに追い詰めても表情一つ変えない」と絶賛の言葉を口にした。