銀幕のヒーロー「マイトガイ」として日活アクション映画の黄金期を牽引していた小林旭と、幼少期から天才少女として日本を照らし続けてきた「歌姫」美空ひばり。二人の接点は、1961年に雑誌の対談企画で顔を合わせたことでした。当時23歳前後だった若き二人は、急速に親交を深めていきます。
のちに小林旭がテレビ朝日『徹子の部屋』をはじめとする回顧インタビューで明かしたところによると、交際のきっかけはひばり側からの積極的なアプローチでした。「恋人いるの?」というストレートな問いかけから始まり、仕事が終わる夜分には「寂しいの」と小林へ電話が入る日々が続いたといいます。幼少期から過酷な芸能界の荒波に揉まれ、常に国民の期待を一身に背負い続けていたひばりにとって、飾り気のない男らしさと包容力を持つ小林は、初めて心を許せる唯一の避難所でした。
交際は瞬く間に真剣なものへと進展し、1962年11月5日、東京・日比谷の日活国際ホテルにて華々しい結婚披露宴が執り行われました。出席者は芸能関係者や政財界の大物など約1,000名にのぼり、投じられた費用は当時の金額で数千万円(現在の貨幣価値で数億円規模)とも報じられる空前絶後のスケールでした。詰めかけた数百人の報道陣の前で開かれた美空ひばりと小林旭の結婚会見では、お互いに寄り添い合い、幸福に満ちた笑顔を振りまく二人の姿が日本中に配信され、まさに国民的慶事として祝福されました。