現代の旅行者は、アルゴリズムが弾き出す点数に疑念を抱き始めている。かつては食べログの星の数だけを頼りに店を選んでいた層が、評価の枠組みからこぼれ落ちた「語られない名店」を能動的に掘り起こすようになった。
日本観光振興協会の調査でも明らかなように、単なる観光名所の周遊から、その土地固有の食文化や人との触れ合いを目的とするフードツーリズムへと旅の動機が大きくシフトしている。数値化された人気ランキングよりも、店主の個性や、その土地でしか成立し得ない空気感を味わうこと自体が、旅のハイライトとなっているのだ。
点数が高くないからといって侮ることはできない。電波の届きにくい山あいの集落や、看板の文字が掠れた港の片隅にこそ、口コミサイトのレビュアーの手が及んでいない本物の味覚が潜んでいる。自らの直感を頼りに暖簾をくぐる行為そのものが、現代における冒険なのだ。