ゴールドシップの名を競馬ファン以外にまで轟かせた決定打といえば、2015年の宝塚記念だろう。ファン投票1位に支持され、前人未到の3連覇がかかった大一番。ゲート入り直後、隣の馬に激しく威嚇の表情を向けた次の瞬間、ゲートが開くと同時に立ち上がり、およそ120億円もの馬券が一瞬で紙屑と化した。あの瞬間の呆気にとられた表情と規格外のやらかしは、競馬史に残る事件として刻まれている。
この前代未聞のドラマは、インターネット時代の到来とともに爆発的な広がりを見せた。競馬総合ポータルサイト「netkeiba.com」の掲示板やデータベースには膨大な数のコメントが殺到し、YouTubeには珍場面を集めたハイライト動画が次々と投稿された。勝つときは圧倒的な強さでねじ伏せ、負けるときは豪快にやらかす。その喜怒哀楽豊かな表情と予測不能なドラマ性が、デジタル空間で熱狂的に愛される要因となった。