高座に上がった瞬間の眼光、突如として放たれる大音量の叫び、そして表情豊かな顔芸。三遊亭萬橘の落語は、いわゆる「静かに耳を傾ける」古典落語のイメージを根底から覆す。しかし、単に奇を衒(てら)っているわけではない。長年積み重ねてきた確かな滑舌とリズム感があるからこそ、突飛な演出も破綻せず、観客を中毒性の高い爆笑の渦へと導くのだ。
彼が手がける古典落語の改作やアレンジは、登場人物の愚かさや愛おしさを現代的な感覚で際立たせる。古典のプロットを崩すことなく、人間の本質的なおかしみを可視化する独自の手法。これが、若年層から往年のファンまでを虜にする理由にほかならない。