フィリピン出身のカシメロは、叩き上げの叩き上げだ。ライトフライ級、フライ級、そしてバンタム級とアウェイの地で勝利を重ね、世界3階級制覇を達成した実績は揺るがない。特に衝撃的だったのは、2019年11月に行われたWBO世界バンタム級タイトルマッチである。難敵ゾラニ・テテを3ラウンドKOで沈め、王座を奪取した戦慄の一戦は、彼のキャリアにおけるハイライトと言える。
ガードを低く下げ、相手の隙を見逃さずに飛び込む野性的な踏み込み。精密機械のような技術論を覆す圧倒的な強打とタフネスで、数々のエリートボクサーを破ってきた。だが、その輝かしい栄光の陰には、常に自己管理の甘さという影がつきまとっていた。