大野智という表現者の底知れなさは、過去の代表作を振り返るだけでも鮮烈に蘇る。『映画 怪物くん』で見せた人間味溢れるチャーミングな演技、あるいは『忍びの国』での凄まじい身体能力と虚無を抱えた主人公の哀哀たる眼差し。彼はいつだって技巧を超えた天性の感性で観客を圧倒してきた。
そんな彼が今、表現の舞台をスクリーンの前からカンバスの上、そして陶芸や空間デザインへと移している。島での生活そのものが彼にとってのアートワークであり、愛する人と過ごす時間はその創作の源泉になっているに違いない。芸能界という枠組みに囚われない自由な生き方こそ、彼が本来持っていた表現者としての純度を保つ唯一の方法だったのかもしれない。